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赤字の場合も法人税の申告は必要?
会社の決算で赤字が出た場合、法人税の支払いが発生しないので、申告は必要ないと思う方もいらっしゃるかもしれません。
法人税の申告は会社としての1年間の経営成績を国に報告する重要な手続きのため、黒字・赤字にかかわらず行う必要があります。
今回は、赤字でも法人税申告が必要となる理由や、申告しない場合のリスクを解説いたします。
赤字でも法人税申告が必要となる理由
赤字でも法人税申告が必要となる理由は、以下の2点です。
- 法人には申告義務があるため
- 赤字を繰り越すため
それぞれ確認していきましょう。
法人には申告義務があるため
法人税法第74条によれば、会社は利益の有無に関係なく、各事業年度ごとに申告書を提出しなければならないと定められています。
したがって、赤字で納税額0円であっても、税務署への申告は必須です。
赤字を繰り越すため
赤字申告を行っておくと、その損失を最大10年間にわたって翌年度以降の利益と相殺できる繰越欠損金控除が使えます。
節税の観点でも、赤字での申告は重要です。
申告をしない場合のリスク
法人税の申告をしない場合、以下のようなリスクがあります。
- 無申告加算税・延滞税が課される
- 青色申告の承認が取り消される可能性がある
- 銀行や取引先からの信用が低下する
それぞれみていきましょう。
無申告加算税・延滞税が課される
申告期限を過ぎても申告を行わないと、無申告加算税や延滞税が課せられる場合があります。
たとえ赤字で納税額が0円でも、期限を守らなかったこと自体がペナルティの対象となるため注意が必要です。
青色申告の承認が取り消される可能性がある
青色申告を続けるためには、毎期の決算・申告を正しく行うことが条件です。
申告を怠ると、青色申告の承認が取り消され、欠損金の繰越控除や特別償却などが使えなくなる可能性があります。
銀行や取引先からの信用が低下する
決算書や申告書は、融資審査や取引先との契約時に必ず確認される書類です。
申告していない、または期限後に提出している会社は、「経営管理がずさん」とみなされ、信用を失うリスクがあります。
まとめ
会社が赤字であっても、法人税の申告は法律上の義務であり、必ず行う必要があります。
赤字申告をしておくことで、翌期以降の利益と相殺できる繰越欠損金控除が使えるなど、将来的な節税にもつながります。
一方で申告を怠ると、無申告加算税や延滞税の発生、青色申告の取り消し、金融機関からの信用低下といったリスクも生じます。
もし不安がある場合は、専門家への相談を検討してください。